紹介

「障害を持つ長男イーヨーとの「共生」を、イギリスの神秘主義詩人ブレイクの詩を媒介にして描いた連作短編集。作品の背後に死の定義を沈め、家族とのなにげない日常を瑞々しい筆致で表出しながら、過去と未来を展望して危機の時代の人間の<再生>を希求する、誠実で柔らかな魂の小説。大佛次郎賞受賞作。」

講談社文庫

【感想】2010-7-11

やはり障害のある息子を持つ父親の内的な葛藤と家族との対話の物語といってよいのか。
果たしてこれが小説なんだろうかと思ったりするが、小説家と彼らの家族との様相がその時代の出来事と合いまり、現実を現実以上の形相として描きだしている。
こうした小説は分析的に読むことはできず、自分たちとの相似点を通して静かな想像へと降りていく。
感動とは違う、世界の複雑さを体験する、現実という物語。


羊男

物語千夜一夜【第百二十夜】