紹介

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。
そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。
残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者
として心配になる女性だった。
だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、
本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が
持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、
まるで見てきたかのように解き明かしていく。
これは“古書と秘密”の物語。

【感想】2013-1-15

「ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち」三上延
鎌倉のような町にある古本屋を軸に、古本にまつわる事件を描く連作。
キャラクター小説といってよく、古本屋の美人の店主と本が読めない
店員というわかりやすい恋愛劇も盛り込まれている。
夏目漱石や小山清、太宰治にサンリオSF文庫といった古本がストーリー
を作るので、ライトノベルを読まない人でも、
古本好きであれば楽しい読み物である。
テレビドラマにもなったらしく、その人気もわかるほどには面白いが
推理小説としての仕掛けは淡白な変拍子風。


ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~
第二巻に登場する古書たち。
アンソニィ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
福田定一『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)
坂口三千代『クラクラ日記』(文藝春秋)

大向こう受けする足塚不二雄=藤子不二雄はこの本にふさわしいと思う。
でも、こちらの『クラクラ日記』が登場するのは渋い。
福田定一=司馬遼太郎は定番とでもいうべき古書で、話題性があるから
そこがいい。
また、このベストセラーで『時計じかけのオレンジ』を読む人が
増えてくれるとうれしい。
この時代のイギリス小説の雰囲気には格別なものがあるから。
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~
ヤングの『たんぽぽ娘』がいくつかの本に収録されるようになったのは、 この第三巻のおかげだと思う。 古書価が高く、なかなか読めなかった短篇だけに、その読後のイメージ は鮮やかで、アニメ向きだと思う。 この作集でもその中身より絶版文庫がテーマになっている。 宮澤賢治を扱った三話では春と修羅』の初版本にまつわる薀蓄がひかえめ に紹介されている。 しかし毎回思うのだが、登場人物のように本に書かれている文章を 暗誦できる才能が欲しいと思うのは、私だけではないと思う。 プロローグ 『王さまのみみはロバのみみ』(ポプラ社)I 第一話 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫) 第二話 『タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの』 第三話 宮澤賢治『春と修羅』(關根書店) エピローグ 『王さまのみみはロバのみみ』(ポプラ社)II
羊男

物語千夜一夜【第百二十五夜】