池澤夏樹
『スティル・ライフ』 | 羊男の感想を集めました。
『スティル・ライフ』 池澤夏樹のデビュー小説です。表題の「スティル・ライフ」と「ヤー・チャイカ」の中編二作が入っています。 舞台は日本。表題のものは、ドラマじたてのような、変種のアウトローものなんですが、 暴力はでてきません。 ちょっと世の中からはみ出してしまった人たちの話 で、ストーリーよりもその表現の方法がとても独特です。 作者自身もいってますけど、視点が理科の思考方法(というより技術に近い) を取っています。 それがこの作品ではうまく生かされていて、世界を優しく見つめているという感じがします。 うまく表現できないんですけど、宇宙と自分が実は深くつながりあっている、
ということを無理なく、しかも表面的ではない、地が足についた感動をもたら
してくれます。
-1995.9.28- |