◆1997年度こんなの読んだよランキング◆67冊◆

★★★★本の解説

1.『アンダーグラウンド』村上春樹 講談社
やはり昨年はこの本で決まりですね。いろんなことを考えさせられる本でしたが、なかなか 感想とかそういったものが書きづらい本です。作者にとってこの本は世間とコミットメント を始めたと言う、大げさな表現ですけど時代の変わり目というものも感じる本です。
私たちの日常生活というものが実は限りない種類の現実からできあがっているという、実に 当たり前のことを痛感させられました。どうして私はこんなに鈍感なのだろうか、と。

2.『ねじまき鳥クロニクル・第1部・泥棒かささぎ編』村上春樹 新潮文庫
3.『ねじまき鳥クロニクル・第2部・予言する鳥編』村上春樹 新潮文庫
4.『ねじまき鳥クロニクル・第3部・鳥刺し男編』村上春樹 新潮文庫

再読。実は95年度でも四つ★でありました(笑)。とにかく生きる肥やしになりますです(^^)

5.『百年の孤独』ガルシア・マルケス 訳:鼓直 新潮社
スケールの大きい物語です。さすがラテン・アメリカの大御所という感じでしたね。 これまた感想がかきづらい大作でしたが、とてもいい収穫になりました。

6.『森と湖のまつり』武田泰淳 新潮社
なんだか新潮社のまわし者みたいですけど。どっちかというとこれは埋もれた名作というやつですね。
講談社文藝文庫にもはいってます。北海道のアイヌ民族と日本の女性画家との葛藤というか 生きざまというか太い生活あるいは生命といった不粋なものがえんえんと書かれています。 その骨太なところが神話的でマルケスと似ていると言えば似ている。おそらくこういった種類の作家は もう日本には登場しないのでは?と思わせるほど日本の小説的でない日本の小説でした。



★★★本の解説

7.『ハワイイ紀行』池澤夏樹 新潮社
つきぬけた明るさの本。ハワイって、そのエキゾティシズムを想像している方が楽しい。 でもそのうち行きたいなあ(笑)。

8.『鍵のかかった部屋』ポール・オースター 訳:柴田元幸 白水uブックス
9.『最後の物たちの国で』ポール・オイスター 訳:柴田元幸 白水社
最後の〜」は春樹さんの「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と雰囲気がよく似ているんですよね。 「ムーン・パレス」は自伝に近い作品だから、フィクションとしてはこの「鍵のかかった部屋」 がとてもいいです。

10.『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァー  訳:村上春樹 [What we talk about when we talk about love] 中央公論社
ここのところ、カーヴァーに凝っています。このひとの短編はもうさいこうですね。 じんじんにんじんかじかじです。

11.『心臓を貫かれて』マイケル・ギルモア 訳:村上春樹 文藝春秋
家族ってわからないです。なんで人間を続けるのかもわかんないです。 救いのない、というかぎりぎりの本ですねえ。

12.『不夜城』馳星周 角川書店
これも別な領域でわかんない怖い小説です。底が浅いようで深いのか、それともその逆なのか。 読んでいて救いがないなあ。

13.『図南の翼』小野不由美 講談社X文庫
小説は楽しいだけでいいのか?いいんです!!
てな感じですかねえ(笑)。読んでる最中はとても楽しかったです。 しかし今はあんまり記憶がさだかでなくなってきている・・・そういえば若い頃大量に読んだ エドガー・R・バローズの「火星」「金星」シリーズもこんな感じだったんじゃないかな。 異世界ものはいつの時代でも若者に支持されるのですね。 って、もうわたしゃおやじでんがな。さみし〜

14.『ラブ&ポップ』村上龍 幻冬舎
なんか世の中はこの援助交際からナイフ殺傷に移ってきていて、私はこういった世の中を 理解できないし、かといってビジネスの世界も混沌としていてわけわからないし、 ストレスたまりますね〜。いまの私はミニマリズムが気持ちいいけど、これが逃避なのか、 村上龍さんが前向きなのか、そんなことさえ判断できないけど、この作品はやっぱり「文学」だと思う。

15.『名指しと必然性』ソール・クリプキ 訳:八木沢敬+野家啓一 産業図書
引っ越しの時に本を整理しているときに出てきて、久しぶりに読み直した分析哲学の講義録です。 この人の天才性ってなんとなくユダヤ的な理解不能の深さというか不気味さにあるんだという気がしました。 とても明快な論理で講義は進むんだけど、読んでいくうちに底知れない不安がソラリスの海のように広がって いくんですね〜怖いですね〜(^^;)



★★本の解説

16.『明暗』夏目漱石 文芸春秋
17.『草枕』夏目漱石 新潮文庫
漱石の感覚というのは今読むと不思議な郷愁を覚えます。「明暗」の場合、水村美苗の 続編をのために読んだのに、読まず仕舞いでした。

18.『やがて哀しき外国語』村上春樹 講談社文庫
19.『蛍・納屋を焼く・その他の短編』村上春樹 新潮文庫
再読が多い村上春樹さんの本。「納屋を焼く」は何度読んでもいいです。

20.『南の島のティオ』池澤夏樹 文春文庫
お母さま、ぜひお子様にもすすめてあげてください。

21.『二重螺旋の悪魔』梅原克文 ソノラマノベルス
バイオハザードものというジャンルを初めて読みました。ぐいぐい読ませる。

22.『シティ・オヴ・グラス』P.オースター 訳:山本楡美子+郷原宏 角川文庫
アメリカ作家ってなぜかカフカlikeなものがお好き?

23.『辞書はジョイスフル』柳瀬尚紀 新潮文庫
実は辞書はあんまり好きぢゃないんです(^^;)

24.『亜州黄龍伝記3・西蔵大脱走・上下』 狩野あざみ 徳間ノベルズ
このシリーズではこれが最高。

25.『ゲイルスバーグの春を愛す』ジャック・フィニイ 訳:福島正実 ハヤカワ文庫
ファンタシィはたまに読むと心が洗われます。

26.『モグラびと』ジェニファー・トス 訳:渡辺葉
現実の地下生活者の生態を描いたこれはもう、著者のライブ感に脱帽です。

27.『夢を走る』日野啓三 中央公論社
この作家はどこか遠くへ行きたくなった時に読むといいんですが、当たり外れが 私とにとっては大きかったりします。これはまあまあ。

28.『寝ぼけ署長』山本周五郎 新潮文庫
この桜の入れ墨が見えねいか!ってちがう〜

29.『モダンサッカーへの挑戦』加茂周 講談社文庫
このお人はどうすんのかいな。

30.『八甲田山死の彷徨』新田次郎 新潮社
新田次郎という方の本は後にも先にももう読むことはないでしょう(^^)
私はけっこう、かたくな。つまんなかったというわけじゃないんですよ。 体がむかないの〜許して〜って、でも真夏に羽田の空港ロビーでこの本を読んでいた 記憶はまだばっちり肌に残ってますです。



★本の解説

31.『ホーソーン短編小説集』坂下昇編訳 岩波文庫
一つ星の基準はつまらなかったのではなくて、なんとなくいまいちパンチのなかった本 という感じです。この本の短編はひとつひとつはよくできていると思うんだけど、 やっぱり文章が硬いと眠い。

32.『寺田寅彦随筆集第4巻』岩波文庫
たまにちびちび読むと寅彦ちゃんはいいんですよ。ほんとうに。 じゃあなんで一つ星なんだ?(笑)

33.『夢で田中にふりむくな』岩倉千春+渡辺節子 ジャパンタイムス
都市民俗学の大衆向け本。けっこうホラーで怖い。

34.『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』村上春樹 中公文庫
別にランク順にはなっていません(^^;)。なんとなく、ギャッビーは苦手。

35.『月に吠える/定本青猫』萩原朔太郎 筑摩書房
久しぶりに読むといいねえ。日本語が生きてる。ふたつ星でもよかったな。

36.『アウラ・純な魂』フエンテス短編集 訳:木村栄一 岩波文庫
岩波にあっては楽しく読みやすい。ちょっちホラーはいってます。

37.『村上龍全エッセイ』1976-1981 講談社文庫
若い頃の龍ちゃんはいいですよねえ。けっこう池田満寿男と似ている?

38.『中国の鳥人』椎名誠 新潮文庫
39.『インドでわしも考えた』椎名誠 集英社文庫
フィクションは読んでる間は楽しい。ノンフィクションは読んでる間は臨場感がある。 でも読み終わると・・・

40.『幽霊たち』ポール・オースター 訳:柴田元幸 新潮文庫
41.『孤独の発明』ポール・オースター 訳:柴田元幸 新潮文庫
ちょっち印象が薄かった二冊。そのうち再読してみようと思う。

42.『ニューヨークの世紀末』巽孝幸 筑摩書房
ポーから始まってギブソンまでアメリカ作家が描く都市の変遷を追う。 ぢつはギブソンのファンなんだけどね、私(笑)。

43.『むくどり通信』池澤夏樹 朝日文芸文庫
まあ暇な時に読むのがいいね。

44.『月の影 影の海』上・下 小野不由美 講談社X文庫
45.『東の海神 西の滄海』 小野不由美 講談社X文庫
 読みやすいかわりに覚めやすい。

46.『妖花』ルビー・アンソロジー1 角川書店
47.『六月のシュールな薔薇』尾鮭あさみ 角川ルビー文庫
なんで読んだのかきっかけ覚えてない(^^)

48.『亜州黄龍伝記1』狩野あざみ 徳間ノベルズ
49.『亜州黄龍伝記2・爆風摩天楼』狩野あざみ 徳間ノベルズ
50.『亜州黄龍伝記6・乾坤大戦記・上』狩野あざみ 徳間ノベルズ
51.『亜州黄龍伝記7・乾坤大戦記・下』狩野あざみ 徳間ノベルズ
これは楽しい。何も考えなくていいし。

52.『ピンク・フロイド One Of These Days』立川直樹 シンコー・ミュージック
やはり初期メンバーのシド・バレットが気になるんですよ。音の悪い海賊系なんか 買ったりもして(笑)。しかし70年代のフロイドはいま聴いてもかっこいいです。 やっぱりサイケはいいのう。

53.『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』村上春樹+河合隼雄 岩波書店
えっと。よくわかりませんでしたー(笑)。

54.『科学的方法とは何か』浅田彰+山口昌哉ほか 中公新書
今ではもう古い、という感じ。時代を感じました(笑)。

55.『近世アジア漂流』田中優子 朝日新聞社
江戸時代のアジアというのはエキゾチックです。

56.『着飾った補食家たち』ピエール・クリスタン 田村源二訳 サンリオSF文庫
おフランスの世紀末ものはけっこういい味だしてます。

57.『ビアドのローマの女たち』アントニイ・バージェス 大社淑子訳 サンリオSF文庫
もはやバージェスもモダンという感じで読めてしまう時代になりました。

58.『虎よ、虎よ』アルフレッド・ベスター 中田耕治訳 ハヤカワSF文庫
ビートニクなSFでよかったんですが、メジャーものだから、このぐらいの星で いいでしょう(笑)。有名じゃなかったら、四つ星になっていたかもしれません(笑)。

59.『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック・U』ジョン・ブラナー編 浅倉久志・他訳 サンリオSF文庫
短編にはけっこういいものがあるんですよ、ディックは。

60.『象工場のハッピーエンド』村上春樹+安西水丸 新潮文庫
61.『ランゲルハンス島の午後』村上春樹+安西水丸 新潮文庫
ハートランドのビールを飲みながら読みたかった(^^)

62.『SUDDEN FICTION 超短編小説70』ロバート・シャパード+ジェームズ・トーマス編     訳:村上春樹+小川高義 文春文庫
63.『SUDDEN FICTION 2 超短編小説・世界篇』ロバート・シャパード+ジェームズ・トーマス編     訳:柴田元幸 文春文庫
名作・駄作はとにかく自分の好みによる、超短編集。ごった煮ならではの味なので、 評価はあてにしないでください。とにかく自分にあった名作はひとつぐらいは見つかるでしょう(笑)。

64.『眠る石』中野美代子 ハルキ文庫
学術的な歴史感覚が気持ちいい。

65.『宮沢賢治への旅』文藝春秋編 文春文庫
カラー写真がきれいです。

66.『バブリング創世記』筒井康隆 徳間文庫
ほんと筒井康隆の短編てよくできてますよね。怖いですよね。

67.『ナボコフの一ダース』ウラジミール・ナボコフ 訳:中西秀男 サンリオSF文庫
ロシア亡命作家という感慨がよく表れている短編集です。ナボコフの短編は昔ペーパーバックで 読んだとき難しくて捨てたんだけど、今回日本語で読んでも難しかった(笑)。


1998.2.18

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