『ムジカ・マキーナ』高野史緒
新潮社

【紹介】
1870年のヨーロッパを舞台にした音楽ネタの冒険小説・・(略)。
19世紀ロンドンでテクノ系DJがクラバーたちに大人気だったりする大胆な 設定はデレク・ジャーマン風。
しかもプロットの軸は密造LSDをめぐる 麻薬捜査(!)だったりして、スターリングの新作だと言われたら納得しそう・・・『本の雑誌.1995.11 大森望氏の解説より抜粋』

【感想】

ということで第六回ファンタジー大賞最終候補作です。
解説の通りのかっこよさなのだが、実際はかなりクラッシックに詳しくないと 楽しめないというか、太刀打ちできないのでは?と思わせるほど音楽理論やら 専門用語が出てきます。
「リストのバレアック調やワーグナーのザッピング、縦フェーダでのカットイン」 なんだかわからんが、かっこいい。
それもそのはずで、この土浦市(うちから近いよ。どうでもいい?)に在住の 新人作家は声楽の専門家のようです。

舞台はウィーンのアカデミックな雰囲気と歴史改変もの特有の19世紀に コンピュータがあったらという設定で幕をあけ、「プレジャー・ドーム」なる 巨大クラブが登場するあたりは、う〜ん、かっこいい。

メインテーマは「音楽機械による究極の音楽」づくりです。
プラトニズムばりばりの「音楽の理想、理想の音楽」とは何かという命題に 挑み、それを実現するにはLSDが不可欠であった・・・

ちょっと、サイバーパンク好きか理解のあるクラッシック好きでないと 読み通せないかも知れません。
(ちなみに次作はカストラートをメインにした小説を出す予定だそうです。 これもマニアック?)


★羊男★1995.11.26★

物語千夜一夜【第九十三夜】

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