『亜州黄龍伝奇』 狩野あざみ

「亜州黄龍伝奇」1巻〜7巻 徳間ノベルス


【紹介】
平凡な日本の大学生、工藤秋生は病の床にある曾祖父を見舞うために香港の地を 踏む。
その香港で、なぜか秋生は次々と事件に巻き込まれる。秋生をつけ狙って追いか け回す香港ヤクザの一派と、それを阻み、秋生を守ろうとする勢力との争いがそ の事件の正体だった。
秋生を守るのは、彼の従妹セシリア・朱と、香港ヤクザ世界で虎と呼ばれ恐れら れている男、ヘンリー・西。船上生活者の老人、玄冥。そして香港経済界では著 名な青年実業家、ビンセント・青。なぜ秋生が狙われるのか。彼を守る4人の正 体は…。

【感想】

香港返還記念ということで(笑)。
香港を舞台にした創造者と、彼を目覚めさせようとする者達 から彼を護る四聖獣たちとの戦いを描きます。
語り口がユーモラスなアドベンチャーで、ちょっといままで にないタイプの物語で自由主義国香港の魅力も存分に取り込 みながら一気に読ませます。
創造者の頼りないキャラクターといい、それぞれクセのある 四聖獣というわき役がいい味だしてます。 香港の若き富王、香港ノワールそのままのマフィアのボス、 超美人の女子大生、年老いた船上生活者。 魔都香港であれば現実にこんな聖獣が紛れ込んでいても不思 議はないという舞台設定もよく生きてます。
映画にでもしてくれるといいなあ、という感じのアクション ものでもありますね。ストーリーのベースにあるのは水戸黄 門。このパターンならいくらでも書き続けられるのに、ちゃ んと、7巻で結末をつけてるとこも偉い。まあちょっと付け 焼き刃であるけれども。
とにかくおもしろさには太鼓判を押します。
私が特に気に入ったのは3&4の「西蔵大脱走」です、はい。


★羊男★1997.6.28★

物語千夜一夜【第六十九夜】

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