とにかくおもしろかったのですが、気になったのはホロソナーというハイテク
機器を使って深海を手に取るように見れる「立体音響視界」のことなんですが、 基本的には視力を使わずに聴覚を増強させるわけで、これにはかなり記憶力が
関係するのではないんでしょうか?
一度目で見たことがある状況、対象、物体 でないと音響知覚からくる情報も想像力として組み立てられないような気が
して、果たしていままで見たことのない対象に、立体感覚を喚起させることが 可能なのかが、引っかかってます。
そういえばホロフォニクスのレコードというのをかなり昔(ビニール盤だから)
買って聴いたことがありますが、確かにヘッドフォンで聴くと凄い迫力があった のを覚えています。
小松左京でいえば『首都消失』にあたる、という感じがしましたね。
というのは、 なにぶん「ソリトン」の解析には力を入れていないといったところが、「首都消失」
での「雲」と同じに謎のままで終わってしまうという、その辺りに欲求不満を 感じました。
物語千夜一夜【第三十五夜】