『すばらしい新世界』池澤夏樹

中公文庫


【紹介】
途上国へのボランティア活動をしている妻の提案で、風力発電の技術協力にヒマラヤの奥地へ赴いた主人公は、秘境の国の文化や習慣に触れ、そこに暮らす人びとに深く惹かれていく。
留守宅の妻と十歳の息子とEメールで会話する日々が続き、ある日、息子がひとりでヒマラヤへやってくる…。
ひとと環境のかかわりを描き、新しい世界への光を予感させる長篇小説。

【感想】

2000年11月6日(月)
「すばらしい新世界」池澤夏樹を読む。
今日は大阪。
卸業向けの企画会議。
ABMというやっかいなメソッドが中心なので、頭がぐりぐり。
打ち合わせが7時半まで伸び、新幹線に乗ったのが8時過ぎ。
ビールをど〜んと飲みながら、夏樹を読むのは幸せだ。
それでも静岡あたりで睡魔に勝てず、1時間ほど爆睡。
家に着いたのは12時。

2000年11月8日(水)
「すばらしい新世界」池澤夏樹を読む。
この夏樹さんの本はとても未来的で、理科的な楽しい本だ。
ここには父と母と男の子が登場して物語られる、核家族の話なのだが、非常に理想的で子育てに理想になるのだが、理想すぎて私には手がでない。
科学的、論理的なものの教え方ができないと、来世紀の父親は落第なのかのお。
こんなことで悩んでしまうなんて、本を読むことの副作用も問題だ。

2000年11月9日(木)
「すばらしい新世界」池澤夏樹を読む。
今日は弘前出張。
移動時間が多いので、夏樹さんの本を読むのが楽しみ。
弘前はずいぶんと前に一人で旅行したときに、ねぶたを見て、日本の夏を感じたところ。
そのときはユースホステルに泊まって、そこに居た人といろいろ日本のことを話したのを思い出した。
民俗学とか好きだったんだよね、その頃。
どんどんとこの日本から無くなっていく習俗を、なんだか外国人の視線で見ていた。
いまは出張であちこち行っても、ターミナルな場所ばかりだから、どこへ行っても均質化した印象しかない。
差異化と不便、不合理というのは同じ意味合いだったりするというのは、地球をばかにしてるのだろう。
仕事はいつになく、うまくいったので気持ちよい。
帰りの飛行機待ちで、青森空港に2時間を過ごすこととなり、生ビールを飲みながら、夏樹さんを読む。
ついつい飲みすぎて、4杯も空にしてしまう。

2000年11月14日(火)
「すばらしい新世界」池澤夏樹を読む。
今日は一日、デモの作成を行う。
目が痛い。しりが痛い。
「すばらしい新世界」は電車の中で読んでいて、クライマックスをむかえ、ちょっと涙ぐみ状況になりそうで困った。
読後感が村上龍の「希望の国のエクソダス」と似ているのは、日本の現状に対して作家という人たちが同じような考え方をしているためなのかな。
新聞連載小説のせいもあるのか、夏樹さんの考えがいろんな方向に拡散してまとまりがなく、結論も出さないあたり、村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」とも似ている気がしてしまう。


★羊男★2000.11.15★

物語千夜一夜【第ニ十六夜】

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